平成8年度は、「結晶核の形成制御」技術と「結晶核の選択成長」技術の組み合わせによる多結晶膜の高品質化技術の確立と、得られる多結晶膜の材料物性評価に先だって、「初期結晶核の制御性」を向上させるための原料ガスの導入法、膜の堆積条件について、Ge組成の高いSiGe膜を与える堆積条件、及び、Si組成の高いSiGe膜を与える堆積条件に分けて、結晶核の形成条件を詳細に検討した。その結果、Ge及びSi組成の高いSiGe膜のいずれの成長条件においても、膜の堆積条件、特に原料ガス流量、反応圧力の等の選択により、SiO_2基板上に直接、結晶核の形成がGe組成が高い膜の作製に条件においては10^<6〜11>cm^<-2>、また、Si組成の高い膜の作製条件においては10^<9〜11>cm^<-2>の範囲にわたって制御できることがわかった。さらに、いずれの膜の作製条件においても、特に圧力を制御することにより、SiO_2/Si系基板においてSi基板上にのみ膜の堆積がおこる「選択成長」が実現できることを明らかにし、本系における「選択成長」条件を確立した。平成9年度は、前年度の成果をを元に、「結晶核の形成制御」と「結晶核の選択成長」の組み合わせによるGeおよびSi組成の高い多結晶SiGe膜の高品質化について検討し、Ge組成の高いSiGe膜(Ge>95%)およびSi組成の高い膜(Si>95%)のいずれにおいても、従来問題となっていた結晶の不均一性のない良好な結晶性が実現され、200nm程度の膜厚においても、粒径サイズが100〜150nm程度の多結晶膜が作製可能となった。また、初期結晶核宇野の配向を制御することにより最終的に得られる多結晶膜の配向制御が実現でき、電気的特性も大幅に改善できることをじっしょうした。
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