研究課題/領域番号 |
08455019
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 幸夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60126951)
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研究分担者 |
池田 浩也 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00262882)
財満 鎭明 名古屋大学, 先端技術共同研究センター, 教授 (70158947)
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キーワード | 高分解能電子エネルギー損失分光法 / 化学気相成長 / 表面吸着水素 / 表面反応メカニズム / ガスソース分子線エピタキシ- / Si_<1-x>Ge_xエピタキシャル成長 / 反射高速電子線回折 / 表面偏析 |
研究概要 |
本研究の目的は、高分解能電子エネルギー損失分光法(HREELS)を用いて薄膜成長初期における表面吸着子の振動を調べることにより、化学気相成長(CVD)などの表面反応を利用した薄膜成長の反応過程及び薄膜の局所構造を明らかにすることである。特に、成長機構及び膜の局所構造に与える表面吸着水素の役割に関する知見を得ることに主眼を置いている。平成9年度は、原子層CVDにおける表面反応メカニズムを解明する第一段階として、Si_2H_6及びGeH_4を原料としたガスソース分子線エピタキシ-法(GSMBE)によるSi基板上へのSi_<1-x>Ge_x膜のエピタキシャル成長初期過程における原子レベルでの反応速度を、反射高速電子線回折(RHEED)の回折スポットの強度振動により調べた。主な結果を以下に示す。 Si(100)及びSi(111)基板上のSi_<1-x>Ge_x膜の成長において、Si_2H_6及びGeH_4の解離吸着速度が、基板の面指数及び吸着サイトとなる表面元素の種類に強く依存する次の現象を見出した。すなわち、Si_2H_6及びGeH_4の吸着速度は、(100)表面上の方が(111)表面上より大きいことが明らかになった。また、(111)表面におけるGeH_4の吸着速度は、吸着サイトがGe原子の場合にはSi原子の場合に比べて4分の1程度であった。これらの結果は、Si_2H_6及びGeH_4ガスの解離吸着反応が基板表面の電子状態に大きく依存することを示唆している。さらに、原子状水素を同時照射した場合のSi_<1-x>Ge_x膜の各原子層の成長速度の結果から、Si_<1-x>Ge_xエピタキシャル成長過程に与える水素の効果は二つあることがわかった。一つはSi_2H_6及びGeH_4ガスの吸着サイトを低減する効果であり、もう一つはGe原子の表面偏析を抑制する効果である。 以上の結果に基づき、平成10年度はHREELS及び走査トンネル分光(STS)によりSi_2H_6及びGeH_4の表面反応メカニズムを解明し、次世代CVD技術の開発のための基礎を確立する。
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