酸化の進行に伴う表面形態の変化を非接触で動作させた原子間力顕微鏡により調べた結果、X線光電子分光法により測定した界面構造の変化が酸化膜の表面形態に影響を及ぼすことを見い出した。この発見により、酸化膜の表面形態の観察により界面構造を非破壊でしかも原子スケールの空間分解能で推測することが可能となった。そこで、水素終端した原子スケールで平坦なSi(111)-1×1面およびSi(100)-2×1面上に水素脱離の起こらない圧力1Torrの乾燥酸素ガス中300℃において膜厚約0.6nmのプレオキサイドを形成した後に、これを介して同じ酸化雰囲気中600℃以上の高温において熱酸化膜を形成した。このように注意深く形成した酸化膜表面の凹凸は、それぞれ2原子ステップの高さ(0.314nm)および1原子ステップの高さ(0.135nm)以下と原子スケールで平坦となる。特に、Si(100)面上に形成された酸化膜表面は極めて平坦となることが注目される。酸化膜の表面形態と界面構造の相関関係から、上記の条件で形成されたSiO_2/Si(100)界面も表面と同程度に極めて平坦であり、究極の界面として将来の超微細MOSFETに用いられると期待される。以上のことから、水素終端した原子スケールで平坦なシリコン基板上に水素脱離の起こらない圧力1Torrの乾燥酸素ガス中300℃において膜厚約0.6nmのプレオキサイドを形成後、これを介して同じ酸化雰囲気中600℃以上の高温で熱酸化すれば、極めて平坦なSiO_2/Si(100)界面が得られることが明かとなった。
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