研究概要 |
平成ゆ年度で行つたLiNbO_3結晶を用いた光パラメトリック発振によるテラヘルス波光源の基礎特性の研究を発展させ,平成9年度はテラヘルツ波発生デバイスの特性向上を図り分光応用への検討を行った。 1.テラヘルツ波発生デバイスの特性向上LiNbO_3結晶内で発生したテラヘルス波を効率よく空気中に取り出すために,テラヘルツ発生のデバイス構造の最適化が必要であり,出射角の波長依存性が小さいプリズムカプラー方式の基礎検討を行った。 プリズムカプラーの材料としては,テラヘルツ波の吸収の小さなSiを用いた結果,出射角の波長依存性がきわめて小さく,コヒーレンス性,指向性,波長可変性等の点で優れていることを見出した。 また,LiNbO_3結晶を用いたテラヘルツ波発生における低温特性の測定を行った結果,液体窒素温度(78K)において,室温時の約125倍の出力向上が図れることを新たに見出した。これは,フォノンモーレンス化に不可欠な基礎データーを得ることができた。 2.テラヘルツ波発生デバイスの分光への応用 本研究のテラヘルス波光源は,YAGと共振器のみから硬性される極めて簡便な広帯域波長可変光源であり,テラヘルス波域の分光等種々の応用が可能である。そこで,金属性ライトパイプに水蒸気を封入してテラヘルツ波の透過強度を測定することにより水の吸収スペクトルの分光測定を行った他,2波長差分分光計測によるテラヘルス波イメージングの基礎実験を行うことにより,波長可変テラヘルス波光源としての利用可能なことを実証した。
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