研究課題/領域番号 |
08455028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷内 哲夫 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (80260446)
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研究分担者 |
佐藤 学 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (50226007)
伊藤 弘昌 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20006274)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 非線形光学 / テラヘルツ波 / 光パラメトリック発振 / ニオブ酸リチウム / imaging |
研究概要 |
非線形光学効果によるテラヘルツ波光源として、LiNbO_3結晶を用いた光パラメトリック発振器(OPO)の基礎特性の解明、デバイス特性の向上および分光への応用に関する研究を行った。 LiNbO_3におけるフォノンポラリトンを介したOPOにより、Nd:YAGレーザを励起光源としたノンコリニア位相整合によりTHz波の発生が可能である。LiNbO_3結晶内で発生したテラヘルツ波を効率よく空気中に取り出すために、グレーティングカプラーとプリズムカプラーによる出射方法の検討を行った。グレーティングカプラーはLiNbO_3の側面に周期125μmの凸凹を形成することにより、結晶中で発生したテラヘルツ電磁波をグレーディングによる回折により効率よく結晶外に取り出すことができることを見出した。また、プリズムカプラーとして、テラヘルツ波の吸収の小さなSiを材料として用いた結果、出射角の波長依存性がきわめて小さく、コヒーレンス性、指向性、波長可変性等の点で優れていることを見出した。Nd:YAGレーザー光とストークス光の角度を約1度変化させるとテラヘルツ電磁波の波長を140〜310μm(0.97〜2.15THz)の範囲で連続的に変化させることが可能であり、34.5mJのNd:YAGレーザ励起時に最大3mWのテラヘルツ波が得られた。 また、光パラメトリック発振の特性向上を図るために、クライオ冷却装置を用いてLiNbO_3結晶を18〜291Kの範囲を変化させることによりテラヘルツ波出力の温度特性を測定した結果、窒素温度(78K)において室温時の役125倍の出力向上が図れることを新たに発見した。これは、フォノンモードのバンド幅の減少に伴う吸収の低下によるものであり、テラヘルツ波の高出力化および高コヒーレンス化に不可欠な基礎データを得ることができた。 本研究のテラヘルツ波光源は、YAGレーザと共振器のみから構成されるきわめて簡便な広域波長可変光源であり、テラヘルツ波域の分光等種々の応用が可能である。そこで、金属製ライトパイプに水蒸気を封入してテラヘルツ波の透過強度を測定することにより水の吸収スペクトルの分光測定が可能であることを見出した。また、2波長テラヘルツ差分分光計測により遮蔽物中に隠された金属格子のイメージングに成功し、波長可変テラヘルツ波光源としての有効性を実証した。
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