平成8年度の研究成果として、面発光レーザの偏波面スイッチングに関して、以下の成果を得た。 ア)高指数面(311)A面基板上の面発光レーザを製作して、30dB以上の大きな抑圧比で安定な偏波面制御を初めて実現した。 イ)高指数面(311)A基板上のGaInAs/GaAs面発光レーザで、選択酸化膜狭窄構造を導入して、発振しきい値1mAの低しきい値動作を達成した。 ウ)製作した高指数面基板上面発光レーザで、しきい値電流以下での偏波特性を実測して、シュミレーションとの比較により、高指数面に起因する偏波面の異方性を明らかにした。 エ)偏波面スイッチングによる高速変調のモデル化を行い、ピコ秒オーダの高速変調の可能性を示した。 オ)量子細線構造をV溝基板上の有機金属気相成長法により形成して、偏光特性を明らかにし、偏波面スイッチング素子としての可能性を示した。 平成8年度は、偏波面の制御法の確立、偏波面スイッチングによる変調モデルの確立、偏波面変調素子の基礎技術確立など、当初計画に予定していた項目は概ね達成された。今後は、偏波面変調機能を有するデバイス設計と偏波面高速変調の可能性についてさらに検討を進めるとともに、素子の実現とその極限性能追求を進めていく。
|