研究課題/領域番号 |
08455037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
米津 宏雄 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90191668)
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研究分担者 |
大島 直樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (70252319)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | GaN系窒化物半導体 / 紫外光半導体レーザ / 歪短周期超格子 / SiC基板 / AlGaN量子井戸レーザ構造 / 視覚情報処理 / ヘテロエピタキシ- / RF-MBE |
研究概要 |
半導体レーザの短波長化は、マルチメディアなどの高度情報化を促進するのみならず、医療・航空宇宙・食品・環境などの様々な分野で新しい産業技術を生み出す可能性をもっている。これを実現するためには、これまでAs系ならびにP系III-V族半導体で培われた光デバイス技術を応用でき、かつ強靱な物性を有する窒化物系III-V族半導体で実現することが望まれる。しかしながら、窒化物系III-V族半導体は格子整合する基板が存在せず、格子不整合率の大きい基板上にヘテロエピタキシャル成長せざるを得ない。 本研究では先ず、代表的な窒化物半導体であるGaNの成長をサファイア基板で行って、GaならびにN元素の供給量に対する成長様式の変化を観察し、高温熱アニール処理による貫通転位の変形・移動効果を透過型電子顕微鏡を用いて調べた。また、6H-Sic基板上にAINバッファー層を用いてGaN層を成長し、貫通転位の発生について調べた。GaN層の成長は、rfプラズマ銃を用いたMBE法によって行い、成長過程をRHEEDで“その場"観察した。GaN層の成長は室温で堆積したアモルファスバッファー層を用いた。GaNエビ層の成長段階において適切なGaとNラジカルの供給比(V/III比)では、成長表面に(2×2)表面再配列構造が形成されることがわかった。この条件よりV/III比が低い場合には表面再配列は形成しないで2次元的な成長様式となり、V/III比が高い場合には3次元的な成長様式となった。高温熱アニール処理を行ったサンプルの断面TEM観察の結果、アニール処理を行うことで貫通転位が曲げられることがわかった。これは高温で転位の移動度が増加すること、ならびにGaN層とサファイア基板との熱膨張計数差による応力が加わって転位の運動が促進されたことによると考えられる。 GaN/AIN/6H-SiC構造の断面TEM観察より、GaNエビ層中の貫通転位の多くはGaN/AIN界面で発生していることがわかった。GaN層とAIN層との間の格子不整合率(2.5%)はAIN層と6H-SiC基板との間のそれ(0.9%)よりも大きいため、貫通転位の発生する割合が増大しているものと考えられる。 本研究によって、紫外光半導体レーザを実現するための、高品質なGaN層ならびにAIN層を作成するための基礎的な技術が得られた。
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