低コヒーレント光干渉による生体組織の屈折率と厚さ同時精密測定に関する研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08455039
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 春名 正光 大阪大学, 医学部, 教授 (20029333)
• 研究分担者: 近江 雅人 大阪大学, 医学部, 助手 (60273645) ; 伊東 一良 大阪大学, 工学部, 教授 (80113520) ; 西原 浩 大阪大学, 工学部, 教授 (00029018)
• キーワード: レーザ蒸着 / 電気光学結晶膜 / ニオブ酸リチウム / 光相互接続

研究概要

今年度は、独自に考案した低コヒーレント光干渉による屈折率nと厚さt同時精密測定法を生体サンプルに適用し、in vitro測定システムを構築して所望の精度(t≧1mmで≦0.1%)を得ることを目的として研究を進めた。
1.ス-パルミネッセントダイオード(SLD)を光源とする干渉計に0.1μm/ステップの微動ステージを組み込み、透明板においてt≧1mmで測定精度≦0.3%を得た。
2.この測定サンプル走査法を用いてヒト爪、鶏肉および層状構造の甲殻類の表皮のin vitro屈折率測定が行えることを実証した。
3.生体組織における散乱光の中から直進光を抽出する上で、光ファイバによる干渉光の空間フィルタリング、および偏光保持成分の弁別が重要であることを示唆した。
4.新たに、SLDがランダム偏光であることを利用した複屈折測定法を提案・実証した。
5.さらに、我々の提案した測定法を用いて、波長分散に基づく媒質の位相屈折率と群屈折率を分離測定できることを初めて示唆し、実証した。
6.以上の結果を踏まえて、マイクロ光学部品を用いた測定光学系の小型・安定化、および生体組織のin vitro屈折率測定について検討を進めている。

研究成果

• [文献書誌] Masato Ohmi: "Simulataneous measurement of refractive index and thickness of transparent plates by low coherence interferometry" Proc.Int′1 Conf.Optical Fiber Sensors (OFS′96). We3-40. 332-335 (1996)
• [文献書誌] Masatoshi Fujimura: "Thermally Nd-diffused Z-propagation of Ti : LiNbO3 waveguide laser pumped by laser diode" Electronics Letters. 32. 2003-2004 (1996)
• [文献書誌] 島岡優策: "生体レーザアブレーションのナノ秒ストロボ顕微観測" 電子情報通信学会 MEとバイオサイバネティクス研究会. MBE96-93. 9-16 (1996)
• [文献書誌] 田尻秀幸: "低コヒーレンス光干渉による屈折率と厚さ同時精密測定ー複屈折の測定と群屈折率ー" 電子情報通信学会 光エレクトロニクス研究会. OPE95-116. 37-42 (1996)
• [文献書誌] 春名正光: "光CTへのアプローチ-低コヒーレンス光干渉法を中心として-" 医用画像情報学会雑誌. 14(No.3掲載予定). (1997)
• [文献書誌] 春名正光: "光干渉による生体内構造検出" 日本ME学会雑誌. 11(NO.5掲載予定). (1997)
• [文献書誌] Yusaku Shimaoka: "Nanosecond stroboscopic microscope for laser ablation of biological tissue" Conf.Laser & Electro-Optics/Pacific Rim (CLEO/PR′97). (accepted). (July) (1997)
• [文献書誌] 春名正光(共著): "立入弘他編「診療放射線技術(改訂第9版)」10章 医用光学機器.電子機器" 南江堂, 10ページ (1996)
• [文献書誌] 春名正光(共著): "田中俊一他編「オプトエレクトロニクス用語辞典」" オーム社, 15ページ (1996)
• [文献書誌] 春名正光(共著): "飯沼武他編「医用物理学」第6章 医用光学" 医歯薬出版, 45ページ (1997)