低コヒーレント光干渉による生体組織の屈折率と厚さ同時精密測定に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08455039
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 春名 正光 大阪大学, 医学部, 教授 (20029333)
• 研究分担者: 近江 雅人 大阪大学, 医学部, 助手 (60273645) ; 伊東 一良 大阪大学, 工学部, 教授 (80113520) ; 西原 浩 大阪大学, 工学部, 教授 (00029018)
• キーワード: 低コヒーレンス光干渉 / 屈折率と厚さ測定 / in vitro測定 / 共焦点光学系

研究概要

今年度は、低コヒーレント光干渉による屈折率nと厚さt同時精密測定システムを構築して測定精度≦0.1%を確認し、これを踏まえて硬組織、軟組織の生体サンプルに適応してin vitro屈折率測定を行うことを目的として研究を進めた。さらに本測定とナノ秒生体レーザアブレーションを主体とする新たな光生体検査法(光バイオプシ)の可能性を追及した。
1.ス-パルミネッセントダイオード(SLD)を光源とする干渉計に0.1μm/ステップの微動ステージを組み込み、透明板においてt≧1mmで測定精度≦0.2%を得た。
2.この測定サンプル走査法を用いてヒト爪、ヒト歯牙等の硬組織や層状構造の甲殻類、および鶏肉等の軟組織のin vitro屈折率測定が行えることを実証した。
3.S/N比よく直進光を捉えるために薄板研磨加工を施した生体硬組織をサンプルに用い、ヒト歯牙のエナメル質(n=1.63〜1.65)、象牙質(n=1.53〜1.54)の屈折率を分離測定できた。
4.測定波長域の拡大を図るために新たにレーザ光を光源とする共焦点法による屈折率測定法を提案し、透明板においてその有用性を確認した(t≧1mmで測定精度≦0.2%)。さらに本手法を生体組織に適用し、硬・軟組織のin vitro屈折率測定を行った。
5.50×50cm^2の光学ブレッドボード上にマイクロ光学部品と微動ステージを搭載して測定光学系の小型・安定化を図った。
6.以上の結果を踏まえて、生体組織の屈折率測定とナノ秒生体レーザアブレーションを主体とする新たな光生体検査法(光バイオプシ)を提案した。

研究成果

• [文献書誌] Yusaku Shimaoka: "Nanosecond stroboscopic microscope for laser ablation of biological tissue" Conf.Laser & Electro-Optics/Pacific Rim(CLEO/PR'97). FF3. 261-262 (1997)
• [文献書誌] 春名正光: "光CTへのアプローチ-低コヒーレンス光干渉法を中心として-" 医用画像情報学会雑誌. 11. 74-82 (1997)
• [文献書誌] Masato Ohmi: "Simultaneous measurement of refractive index and thickness of transparent plates by low coherence interferometry" Optical Review. 4. 507-515 (1997)
• [文献書誌] 春名正光: "光干渉による生体内部構造の検出" 日本ME学会雑誌BME. 11. 34-40 (1997)
• [文献書誌] 春名正光: "生体光計測の現状と将来" 光学. 26. 457-460 (1997)
• [文献書誌] Masamitsu Haruna: "Simultaneous measurement of phase and group indices of transparent plates using the low coherence interferometry" Proc.Int'l Conf.Optical Fiber Sensors(OFS'97). OThC23. 496-499 (1997)
• [文献書誌] 満山照樹: "低コヒーレンス光干渉による屈折率と厚さ同時精密測定ー位相・群屈折率の導入ー" 応用物理学会 光波センシング技術研究会. LST20-12. 41-48 (1997)
• [文献書誌] 丸山英樹: "低コヒーレンス光干渉による屈折率と厚さ同時測定-屈折率波長分散を考慮した精密測定と樹脂硬化度の評価-" 電子情報通信学会 光エレクトロニクス研究会. OPE97-539. 25-30 (1998)
• [文献書誌] 春名正光(共著): "飯沼武他編「医用物理学」第6章 医用光学" 医歯薬出版株式会社, 45 (1997)