研究課題/領域番号 |
08455040
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研究機関 | 山口東京理科大学 |
研究代表者 |
清水 忠雄 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (90011668)
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研究分担者 |
塚本 隆之 東芝研究開発センタ, 研究員
久我 隆弘 東京大学, 総合文化研究科, 助教授 (60195419)
長谷川 太郎 山口東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (80289305)
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キーワード | レーザー・カオス / 非線形光学系 |
研究概要 |
レーザーは決定論的方程式で記述される典型的な散逸系である。非線形光学系としてのレーザー発振が示す様々な不安定性は、散逸系を理解するうえで格好の研究対象である。我々は[可飽和吸収媒質をキャビティ内にもつCO_2レーザー]を研究対象とし、種々の条件下での不安定発振を観測し、これを理論的モデルにもとずく計算で再現することで、複雑な系に内在する秩序構造を明らかにして来た。 1。カオスによるカオスの制御 先に我々は類似した性格をもつカオス発振により他のカオス系を同期させることが可能であることを示した。このたびの実験では、ひとつのカオス系の過去の発振の記録から作る信号によって系の現在の発振を制御することに成功した。過去に記録した信号には、変調や、様々な加工を施すことが出来る。たとえばパルス列のなかで強度についての情報はすべて切り捨てて、時間間隔だけの情報だけを残す。このような信号にも現在のカオス発振は同期する。パルス間の暗い時間間隔と次にくるパルスの高さとは強い相関をしめすことを見いだした。時間間隔の情報の中にパルス高の情報も含まれている訳である。この研究からカオスを引き起こすのに本質的に必要な情報が何であるかを明らかにすることが出来た。 2。2モード同時発振カオス TEM_<00>モードとTEM_<01>モードとが同時に発振するレーザはより複雑な散逸系である。2つのモードはその強度が空間的に重なるところで励起原子を共有することで結合を起こす。両モードの発振は強い相関を示すが、カオス発振に至った場合フラクタル次元のより高い様相を示す。また規則的発振からカオス発振に至るルートに2種類あることが明らかになった。1つは通常の周期倍化過程を経過するルートであり、他は間欠性発振を経由するルートである。次年度にはこのメカニズムを実験と理論の両面から明らかにしていきたい。
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