研究概要 |
単結晶シリコンの結晶異方性エッチングプロセスをマイクロマシニングの観点から研究した.KOH水溶液仁よるシリコンのエッチングレートを全結晶方位について精密に測定するため,単結晶シリコンインゴットから半径22mmの半球形試験片を機械加工で製作した.試験片の半球面のエッチング前後の形状変化を3次元測定機を使って測定し,その結果からエッチングレートを単結晶シリコンの全結晶方位について定量化した.実験はKOH濃度;30〜50%,エッチング温度;40〜90℃の範囲にある計15条件について行った.エッチングレートの結晶方位依存性はKOH水溶液の濃度,エッチング温度によって大きく変化することをはじめて明らかにした. 次いで,エッチングレートの方位依存性のデータに基づいて,エッチング形状の変化を解析的に予測するシュミレーションシステムを開発した.上記の測定結果から,エッチングマスクのパターンが同じであっても,KOH水溶液の濃度,エッチング温度等のエッチング条件の違いによって加工品形状がことなることを,開発したシステムを使って解析的に予測した.この予測結果は以下の実験によって実証された.シリコンの(110)基板表面に深溝を加工すると,KOH濃度が30%の場合に溝断面形状が矩形になるものが,KOH濃度50%の場合はウエッジ状になることを実験的に明らかにした.この結果は上記の解析結果と全く一致した. なお,上記のKOHの水溶液とならんでマイクロマシニングに最近使われはじめたTMAH水溶液についても,上記と同様の方法でエッチングレートの測定に着手した。
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