研究概要 |
本研究では,広開口角圧電高分子膜超音波センサーとデジタル超音波装置を用いて,水浸法により漏洩表面波,クリーピング波,表面SV波信号を収録し,それら音速及び減衰を高精度で測定するシステムを構築し,さらに表面波の音弾性法則と組み合わせて表面層の応力を評価する方法を確立することを目的とする.初年度の研究で得られた主な知見を以下に示す. 1.10及び30MHzのPVDF線収束広帯域超音波センサーを用いて,広さ数mm^2,深さ0.1-0.3mmの表面層を伝播する漏洩表面波,クリーピング波,表面SV波信号をデジタルメモリーに多数回同期加算した後,デジタル信号処理によりそれらの速度を漏洩表面波で0.01%,表面SV波で0.1%の相対精密度で測定する方法を確立した. 2.上記方法を用いてアルミニウム合金2017の漏洩表面波の音弾性係数を測定し,応力負荷方向について-1.1x10^<-5>/MPa,それと垂直方向で0.9x10^<-5>/MPaの値を得た.これらは楔法で測定された結果とほぼ一致する. 3.上記方法及び表面波の減衰を精密に測定する方法を用いて,溶融石英,アルミニウム合金の表面層の密度と弾性係数を10%以下の誤差で推定した. 4.漏洩表面波の伝播をシミュレーションする固液連成場の有限要素法プログラムを作成し,アルミニウムの漏洩表面波,クリーピング波速度の計算結果が実測値とほぼ一致することを確認した.
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