研究概要 |
本研究では,異方性複合組織を有する耐熱材料の耐高温疲労特性あるいは耐クリープ疲労特性を合理的に発現させるため,金属間化合物TiAl(ラメラ組織)とNi基鋳造合金Mar-M247LC(一方向凝固材)の高温疲労およびクリープ疲労試験を実施した.TiAlに関しては以下の結論を得た.(1)TiAlの高温疲労では,寿命初期の段階から試験片表面近くに存在する鋳造欠陥,あるいは結晶粒内のラメラ界面から微小き裂が発生する.(2)ラメラ界面から発生した微小き裂のほとんどは停留するため,鋳造欠陥から発生した微小き裂が大きなき裂を形成し,破壊をもたらす.(3)微小き裂の成長速度は大きくばらつくが,その平均値は大きなき裂の伝ぱ試験から得られる破壊力学則に一致するため,破壊力学を用いた寿命予測が可能である. Mar-M247LCのクリープ疲労試験からは以下の結論を得た.(1)凝固方向と同じ方向を応力軸方向とする0°試験片を用いた引張・圧縮クリープ疲労では,うねっている結晶粒界の局所的に応力軸に垂直な部分に微小き裂が発生する.(2)発生した微小き裂のほとんどはこの垂直粒界部以上には成長しないが,成長経路を粒内に変えてさらに成長した少数のき裂が最終的に試験片を破壊する.(3)クリープ疲労試験は,凝固方向に対する応力軸の角度を変えて計3種類(0°,45°,90°試験片)行ったが,いずれの場合においても微小き裂は垂直粒界部で発生していた.したがって,垂直粒界部の占める割合の大きい90°試験片で微小き裂の発生数が最も多く,同じ条件での破損寿命は3種類の中で最短であった.
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