研究課題/領域番号 |
08455061
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 浩 大阪大学, 工学部, 教授 (30029095)
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研究分担者 |
尾方 成信 大阪大学, 工学部, 助手 (20273584)
中谷 彰宏 大阪大学, 工学部, 助教授 (50252606)
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キーワード | ナノメカニズム / 分子動力学法 / 非分離相対運動 / 転移運動 / 分子2重膜 / ミスフィット |
研究概要 |
ぜい性/延性遷移現象に対して、原子構造レベルで発生した局所的変形機構のモビリティと硬化(強化)特性の間の、力学的相互干渉効果を考慮した検討を行った。 1.破壊過程は、マクロ的視点から見ると、外部から系に持ち込まれたエネルギの局所的な解放・緩和過程であるので、ぜい性/延性遷移現象には、系に蓄えられたエネルギの絶対量と引き起こされる変形領域の大きさの依存性があるとの視点から行った検討によ利、次の結果を得た。 ・現象の基本的な特性を把握する目的で行った、SiC単結晶とSi3N4多結晶に対する圧子の極微小押し込み試験結果によると、サブミクロンオーダーの圧痕の先端においてもき裂の発生が見られるので、高脆材料に見られる延性-ぜい性遷移現象は、複合き裂の相互作用/相互反応による緩和過程と考えられる。 ・離散転位法を用いて行った、金属結晶体中のき裂先端に形成される転位構造についての解析結果より、不動転位を生じることによる応力の遮へい効果が見られ、それがき裂を見かけ上脆化させていると考えられる。従って、ぜい性-延性遷移現象にはき裂先端部に形成される転位構造の解明が重要である。 ・(マクロ的)塑性論に基づく解析により予見されているき裂先端場に生じる局所すべり帯は、転位の運動軌跡から評価される塑性変形として理解できるもので、材料が受けた損傷と関連させることができるものではなく、また材料の硬化特性と必ずしも結び付かない。 2.介在物による局所変形のモビリティの拘束や、侵入/置換形の異原子の存在によって生じる原子間結合力の変化が引き起こす延性/ぜい性遷移現象について、Siを含むAl粒界、AlN/Al界面を例として密度汎関数理論に基づく第一原理解析を行い、電子密度分布から局所的な原子間結合力の変化を分析すると共に、マクロ的な特性(応力-ひずみ関係)の評価を行った。
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