実験的研究では、動的界面破壊現象に関する基礎実験を行なうために、アラルダイトBとアルミ材を接合して界面動的破壊試験片を製作した。界面き裂は接合時にテフロン薄膜を挟み未接着部を設けることにより導入した。また、本助成で購入した薄膜蒸着装置により、試験片に貼付するアルミ薄膜を作成した。さらに、現有の超高速度カメラとアルゴンレーザーを組み合わせたレーザーコースティックス法光学系を用いて、衝撃一点曲げ荷重による破壊開始と引き続く高速き裂伝播中のコースティック像を撮影した。現在、追加実験によりデータ収集およびデータ解析を行っている。 理論研究としては、界面き裂に対する動的J積分の等価領域積分表示式を導出した。さらに、計算力学的研究としては、移動有限要素法による界面高速き裂解析モデルを開発した。この際、高速曲進破壊シミュレーションのために開発された要素自動制御法などを利用した。さらに、高速伝播き裂の回析および分岐のシミュレーションを可能にするため、デロ-ニ三角分割法による自動要素分割法を開発した。 また、中央差分法と集中質量マトリックスを組み合わせた陽解法プログラムを開発した。これにより、連立一次方程式を解くことなく、大規模メッシュに対しても極めて高効率な解析が可能になった。さらに、実験で得られたコースティック像と比較するため、有限要素法によるコースティック像形成シミュレーションプログラムを開発した。
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