研究概要 |
本研究で重要なのは,電気粘性流体(以下ER流体)に研磨用砥粒を混合した場合に,本来のER効果がどの程度発揮されるのかを把握することである.そこで最初に基本的なER効果と電気的,機械的条件との関係を測定した.そのために,回転円筒型粘度計を改造し,10kV/mmの電界を印加しながら粘度測定ができるようにした.ER流体の中に懸濁させる研磨用粒子として,ダイヤモンド,GC,WAを選択し,またその粒径を1から50μmで変化させて実験を行った.その結果,ER効果は混入する砥粒粒子径が大きいほど,粒子濃度が高いほど大きくなることが明らかになった.また砥材についてはダイヤモンド,酸化アルミナ,炭化珪素の順に大きくなることがわかった. 次に,平成9年度に行うER流体を援用した研磨実験に使用する超精密微小領域研磨装置を設計,試作した.研磨装置は,3軸(xyz)スライドテーブルを有し,各軸は小型サーボモータにより駆動される構造とした.z軸(上下方向)は将来,ER工具を固定し,切込みを与えるためのもので,xy軸は工作物を走査させ,形状創成をさせるものである.さらにxyスライドの上には,ピエゾ駆動の超精密3軸テーブルを搭載した.これら3軸の動きはパーソナルコンピュータで制御できるようにした.現在,制御プログラムの調整中である.最終的に,xyz3軸の分解能は10nmとなるようにする. 遊離砥粒加工において加工能率をたかめるためには,作用砥粒数を如何に加工領域に確保し,その状態を長く維持するかが重要な因子となる.しかも本研究のように工具面積が小さい場合は,工具と工作物の界面に砥粒を密に集中させることがより困難になる.今後,針状工具の先端近傍に砥粒を集中させることのできる電極構造を検討する必要がある.
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