平成8年度には、電気粘性流体(以下ER流体)に研磨用砥粒を混合した場合でも、ER効果が保たれることを確認した。そしてER効果は混入する砥粒粒子径が大きいほど、粒子濃度が高いほど大きくなることが明らかになった。また砥材についてはダイヤモンド、酸化アルミナ(WA)、炭化珪素(GC)の順に大きくなることを明らかにした。本加工方式において加工能率を高めるためには、作用砥粒数を如何に加工領域に確保し、その状態を長く維持するかが重要な因子となる。そこで本年度は実際の電極近傍での砥粒の挙動をマイクロスコープとCCDカメラで視覚化し、ビデオで録画、観察した。その結果、砥粒単独では自由に運動していたものが、ER流体と混合することにより砥粒の動きが束縛され、針状工具に向かって集中することが確認された。また印加電圧の増加とともに、砥粒の帯の数は増加し、砥粒の動きはより強く束縛された。その結果、砥粒は工具先端に半固定化され、加工に供されているものと類推される。 一方、平成9年度に試作した超精密微小領域研磨装置では工具回転用主軸の精度が悪いうえ、時間の経過とともに軸が熱膨張し、工具回転中に工作物と接触する現象が生じた。そこで主軸の回転精度がラジアル・スラスト方向ともに、0.1μm以下のエアーベアリング軸を試作し、従来のものと交換して実験に供した。主軸に針状工具を約60μm偏心させて取り付け、ガラスを加工した。このとき電極間距離は1mmで、加工部はその中心とした。また工作物表面と針状工具先端とは5-25μm離して設置した。工具を偏心させたため中心部にへそができているが、工具の軌跡通りに加工されていることが確認された。加工された溝の最大深さ(〜25μm/15min)は加工時間とともに増加し、良好な非接触加工が持続することがわかった。また電界強度が大きいほど加工能率が大きいことも明らかになった。
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