研究概要 |
本研究では,工作機械へ供給した単位エネルギーと熱変形の時間的変化挙動の関係を時系列基本データとして求め,任意の供給エネルギー時の熱変形挙動をその基本データを重ね合わせて求める方法について研究する.平成8年度は以下の様な研究を行った.1.周囲の温度変化の影響:現有設備の数値制御フライス盤へ覆いを掛けて,セラミックヒ-タにより室温をステップ状に機械本体よりも10〜20℃上げ,周囲との温度差ある状態にしたときの工作機械の熱変形挙動を測定し,その熱変形挙動を実験的,数値的に解析し比較検討する.その結果より単位温度差当たりの時系列基本データを求める.更に,周囲温度が変化したときの熱変形挙動を実験的に求め,時系列基本データにより予測した結果と比較検討する.2.機械内部の発熱よる工作機械熱変形の影響:上述の数値制御フライス盤を用いて,主軸を一定回転させたときの供給エネルギと熱変形挙動を測定し,さらに工作機械の熱変形挙動を数値解析し比較検討を行う.主軸回転数や送り速度が変化したときの供給エネルギーの挙動をそれぞれ調べると同時に,熱変形の時間的挙動を実験的に測定し,さらに数値解析で求める.実際に供給されたエネルギを単位ステップエネルギの重ね合わせで表現し,上記の時系列基本データを用いて熱変形挙動を予測し,上記の実験結果と比較検討する.以上より以下の結果が得られた.1.室温が均一に変化する場合については,室温をステップ上に均一に変化させて得られた基本データを使って熱変形量を推定できる.工作機械のZ軸方向に室温の分布があった場合には,Z軸方向に分割して基本データを求めることにより,熱変形量を推定できる.2.主軸が回転した場合についても,モータに供給される電力値や主軸近傍の温度を使った基本データを求めれば熱変形量を推定できる.
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