研究概要 |
気相合成法でダイヤモンドが容易に入手できるようになり15年が過ぎた.工具あるいは耐摩耗材料として少しずつではあるが浸透してきた.さらに,広い波長範囲の光を通すことから,光学部品にも適用が試みられるようになり,表面加工されたダイヤモンドの表面化の性状を明らかにしようとすることが本研究の目的である. 先ず,種々の特性が明らかにされていて,入手の容易な大粒単結晶ダイヤモンドを対象として,ダイヤモンド研磨機を使用して研磨した.研磨には♯600と♯1500のビトリファイドボンドダイヤモンド砥石を使用した.この際,熱電対を研磨点近傍に配置して研磨時の温度を測定したところ,研磨温度の変動が大きいことを見出した.しかし,これが何に起因するかを明らかにするには至っていない.しかしこの際,研磨時の火花の色が異なって観察される.そこで,分光光度計を使用してこれを明らかにする準備を進めている. 加工変質層の検出方法を詳細に検討するために,♯600と♯1500砥石で研磨したダイヤモンドを,各種の腐食環境下に曝した.その結果,すべての腐食方法で最適条件を探せたわけではないが,水素プラズマで腐食することが制御性に優れ,かつ表面に亀裂上の溝が認められるようになった.そこで,この腐食条件を詳細に検討し,腐食温度800C,腐食時間30分を選択することができた. さらに,単結晶ダイヤモンドばかりでなく気相合成法によるダイヤモンドについても明らかにするためには,光学部品にしようできるような良質なダイヤモンド膜が必要となり,直径30mmのダイヤモンドが得られる合成条件を明らかにした.これはマイクロ波プラズマ法により合成することにした.以上のことから,来年度への展望が開けたものと考える.
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