非回転工具を6軸制御すると従来では不可能な加工を実現できる。特に、角部をもつ隅や角張った穴などは回転工具では加工できないために、今までは逆形状を作って放電加工などで対処してきた。このような複数工程の必要な加工を、一台の6軸制御のマシニングセンタによる切削加工だけで遂行しようとするもので、そのために加工能率のよい回転工具で5軸制御荒加工を行い、残存する角隅・角穴部分は工具を交換して6軸制御加工で仕上げるCAMシステムを研究するものである。前年度は、平面の交わりからできる角隅形状の6軸制御加工の研究を主に行ったが、本年度は角隅と角穴を構成する面を曲面に拡張して研究を行い、以下のような結果を得た。 (1)曲面の交線からなる角隅を加工する6軸制御アルゴリズムを考え、その基礎を確立できた。角隅の荒、中仕上げまでを5軸制御で加工し、その後、6軸制御加工法に組み込み、形状定義からNCデータ生成までをシステム化できた。 (2)角隅加工技術を角穴加工(角隅ポケッティング加工)に拡張するためのアルゴリズムを考え、それを加工システムに組み込み、NCデータ生成を可能にした。さらに、ポケット形状が曲面からなる場合にも適応できるように手法を改良した。 (3)6軸制御マシニングセンタを使用して、角隅ならびに角穴からなるポケット加工を行い、所望の動作を実現できることを確認した。
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