研究概要 |
直径1μm,長さ50μm程の微小なSiCウィスカ-を表面に垂直になるように方位を揃えた砥石を作製し,その研磨特性を調べた.第一の研究成果は,結合材として樹脂,メタル,セラミック質,ガラスと4種類を用い,焼入鋼を研摩した場合の表面仕上げ状態を調べた.その結果,樹脂を結合材としたて場合が最も良い結果が得られた. 第2の成果は,本砥石の欠点ある目づまりを研摩液にウィスカ-の直径程度の遊離砥粒を入れることで防止する方法を調べ,目つまりが完全に防止されることを明らかにした.また,この研摩方法で得られた研磨能率,砥石の摩耗速度,仕上げ面あらさを調べ,目つまり防止法は有用な方法であることを確認した. 第三の成果は,この砥石をラッピング加工に応用し,焼入れ鋼及びシリコンの表面仕上げに良好な結果が得られることを示している. 第四の成果は,この砥石を製作する際に特に問題となる課題に関するものである.すなわち,ウィスカ-と樹脂の混合物を唯一切削可能な焼結ダイヤモンド工具で切削した際の工具摩耗を調べ,ウィスカ-の方位,大きさ,形状,混合比を変えた場合の工具の摩耗を詳細に調べた.その場合,方位が刃先に垂直な場合が一案摩耗しやすく,直行する場合が摩耗しにくいこと,細長の形状のものが短太のものより摩耗をひき起こしやすいことを明らかにした.又,焼結ダイヤモンド工具の粒子の大きさとウィスカ-の直径,長さ,混合比の関係を詳細に検討した結果,工具の摩耗は結合材のくり返し衝撃荷重による疲労破壊によって生することを明らかにした.これによって工具摩耗の新しいメカニズムを提示することが出来た.
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