研究概要 |
通常,流体潤滑膜といえば流体粘性力が支配的であり,レイノルズ方程式を解いて求められる圧力はこの流体粘性力に対抗する力である.ところが,2面間距離が小さくなり,数ナノメータあるいはそれ以下になると固体表面間に働くvan der Waals力および溶媒和力の影響が無視できなくなる.van der Waals力は2面間距離が近づくと指数関数的に増加する引力であり,表面が平面,球面,円筒面などの様々な形状の場合に詳しく研究されている.一方,溶媒和力は二面間に存在する流体分子の密度に依存する力であり,斥力と引力とを繰り返す周期的な力である.周期はほぼ流体分子の大きさであり,表面距離の減少とともに振幅は指数関数的に増加する.さて,マイクロマシン,磁気ディスクシステムなど微小・繊細な機械要素が製造されてこのような現象は主として溶媒和力の影響で,流体分子が層状に整列するためであろうといわれているが,詳しいことは分かっていない.本研究ではこのような,分子オーダーの流体潤滑膜のレイアリング現象に着目して,その発生要因を実験的に明らかにすることを目的とする 本年度はこのような目的の遂行のため,実験装置の設計製作を行った.微小なすべり速度で2面をしゅう動させ,この時の変位を高精度にて測定できる装置とした.
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