超並列計算機を対象とした粒度の小さい、つまり1CPU当たりの格子点数の小さな非圧縮性流れ計算に適したアルゴリズムを研究し、基礎的な流れに応用した。アルゴリズムとしては連立解法と呼ばれる、運動方程式と連続の式を同時に反転する手法を採用し、並列化効率を高めることに成功した。また、並列性を維持しながら数値計算の加速性を維持するため外挿法を導入し、非線形方程式でも利用可能であることを示した。 計算例として、従来の2次元計算に続いて、3次元計算である立方体周りの流れを、並列計算機APl000の256、および512個のCPUを用いて計算した。1CPU当たりの格子点数は64と小さな値に抑えている.並列化効率はおよそ70%と高い値を維持し、2次元計算のそれとほぼ同じ値を示した。つまり、2次元、3次元の違いに拘わらず、1CPUの格子点数が同じ、つまり粒度が等しければ、効率はほぼ等しいことを明らかにした。 さらに、対流項の離散化手法の違いによる並列化効率の変化を調べた。2次元計算において角柱周りのカルマン渦の非定常計算を、1次風上差分を中心に用いるハイブリッド法と、QUICKと呼ばれる3次風上差分を用いて行った。それぞれの並列化効率はおよそ80、70%となり、10%程度の差は生じるものの、粒度の小さな並列化効率としては高い値を維持できることを示した。したがって、高次精度の離散化を利用する直接計算およびLESにおいても、本計算手法の応用が可能である。
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