人間の声の生成では、声門と呼ばれる声帯の間を通過する肺からの空気の流れが、声帯の運動と相互に干渉して発生する自励振動がその音源となっている。当核研究では、声帯の自励振動に直接関係する。振動剥離する流体圧力のより精度の高い基礎的データの収集、特に、両側の声帯が相互に接触する場合についても着目する。実験結果を踏まえ、互いに接触しながら自励振動する声帯を通過する空気流の非定常圧縮性剥離流理論を構築し、その理論を用いて、声帯の自励振動と、その音源が声道で共鳴して発声に至るまでの解析を行うため、大別して、平成8〜9年度に次の研究を行った。 1.声帯の形状をモデル化した準二次元流路模型を製作し、定常、非定常流において、流路の圧力分布計測、流れの、特に剥離、遷移、再付着について観測および新規購入したレーザー流速計一式を用いた微粒子の計測による流速分布の計測を行い、流れの剥離、再付着現象の力学的考察を行った。 2.声帯を通過する流れが声帯運動と連成して生ずる自励振動を音源とし、声道で共鳴する発声現象における声帯の相互接触と形状の発声に与える影響について、シミュレーション解析より明らかにした。
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