研究概要 |
申請書通り,高速度ビデオカメラ,圧力変換器等を購入し,現在のところ立ち上げのチェックを済ませ本格的な運用の段階に入ったところである。現段階において得られている新たな知見を申請書の項目ごとに記述する。 1.現有のクライオスタットを用い,種々の減圧速度を変化させた場合の気液界面におけるミストの生成・成長を定量的に捉える。 現在は,高速度撮影によりミストの発生現象の初期の段階における、気液界面挙動と局所的なミストの発生,ミストの層状変化などの観察を行っている。液相部からの沸騰による凝縮核の存在,蒸気供給など,固体壁面上のミスト発生現象とは異なるメカニズムを持つ可能性が見いだされた。定量的な検討については画像処理を用いた濃度,層厚さなどの測定の準備を進めている。 2.気液界面付近における減圧波挙動を調べるために精密な圧力測定を試み,減圧波到達のタイミングや減圧波速度との関連において1との定量的な比較を行う。 研究の進展により,静圧測定が必要となったが,当初購入を予定していたpcb社製圧力変換器が動圧成分しか検知できないため,急遽,使用の異なる複数の圧力変換器を組み合わせることで対応する。現在,立ち上げ中である。 3.高速度撮影により沸騰開始条件を正確に捉え,精密な圧力分布変化と比較検討することによって減圧場における最大過熱度および沸騰開始条件について定量的に把握する。 比較的遅い減圧速度では10K程度の過熱度で沸騰が開始するのに対し,高減圧速度下においては0K(飽和もしくはサブク-ル状態)程度で沸騰を開始している結果が得られた。
|