研究概要 |
通常の噴流型の噴霧火炎を用いたのでは観測がむずかしい噴霧流中の火炎伝播挙動を,対向流平面火炎を利用することによって,詳細に観測を行った.すなわち,可燃予混合噴霧流(層流)と空気噴流(層流)を対向衝突させ,その岐点付近に極めて静かな平面状の噴霧火炎が形成される場において,当研究室で開発された噴霧計測技術や火炎の可視化・画像計測技術と,位相ドップラ流速計,および噴霧連続画像に粒子追跡法を適用することにより,火炎中の噴霧の速度と粒径を同時計測した。 以下遂行した具体的内容を示す. (1)厚み数mm程度の火炎帯の構造を解像可能にするための安定性と定常性に留意し,光学測定時のノイズを極力低減するため,2次元タイプの対向層流(もしくは弱乱流)平面噴霧バ-ナを製作した. (2)位相ドップラー流速計の火炎の存在にによる測定誤差を定量的に調査した. (3)位相ドップラー流速計を用いて,噴霧の粒径分布や数密度,ガスや油滴の速度ベクトルの測定を行った. (4)気体燃料では静止した平面となるはずの伝播火炎先端について,その微小な確率的・選択的変動を観測した. (5)イメージ・インンテンシファイア,パルスディレイジェネレータ,光干渉フィルタ等を用いて,噴霧油滴のミ-散乱光像,ならびにOH,CH,C2バンドにおける噴霧火炎の単色発光画像を同時撮影するシステムを構築し,燃焼挙動の観察を行った. (6)アルゴンイオンレーザのシート光と高速度CCDカメラを用いて噴霧流の断層撮影を行い,その時系列画像に粒子追跡法を適用し,火炎中の油滴速度をラグランジェ的に観察した.また,画像に捕らえられた油滴のミ-散乱光強度より,油滴粒径を同時に導出し,油滴の空間数密度,蒸発率等を測定した. (7)異なる液体燃料を用いた場合,その火炎帯突入以前に予蒸発した燃料蒸気によって生じる濃度不均一性と選択的な伝播が燃焼速度の増大に寄与することを確認した.
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