化学種・すすの空間分布計測による非定常拡散噴霧火炎の機構の解明

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08455109
• 研究機関: 同志社大学
• 研究代表者: 藤本 元 同志社大学, 工学部, 教授 (90051630)
• 研究分担者: 河合 英直 滋賀県立大学, 工学部, 助手 (90275173) ; 千田 二郎 同志社大学, 工学部, 教授 (30226691)
• キーワード: 非定常拡散噴霧火炎 / OHラジカル自発光 / すす / 火炎温度 / レーザ誘起散乱法 / レーザ誘起赤熱法 / 二色法 / シミュレーション

研究概要

本年度の研究実績の概要は次の通りである。
1) 非定常壁面衝突蒸発噴霧のモデリング
非定常壁面衝突噴霧火炎のシミュレーションを最終的に目指す為に、その前提である蒸発過程を精緻に表現する事を行った。即ち、非沸騰・核沸騰・遷移沸騰・膜沸騰の四沸騰形態総てに対応する液滴分裂・液滴分散・熱伝達の三モデルを構築し、これらを用いて対象とする噴霧の燃料蒸気濃度・液滴分布を予測した。その結果は別に得たレーザ誘起蛍光法による実験結果と良い一致を見た。これらのモデルは、軽い成分の燃料の同様の噴霧にも適用し得る。
2) 可視化小型直噴式ディーゼル機関における非定常噴霧火炎の燃焼解析
当該機関においてレーザ誘起散乱法とレーザ誘起赤熱法の同時併用によるすす、化学種であるOHラジカル自発光と二色法による火炎温度・相対すす濃度等の分布計測を行った。その結果、(1)拡散燃焼期間では相対平均すす粒径は時間と共に単調増加する。(2)相対平均すす数密度は予混合燃焼から拡散燃焼への移行期にピークとなる。(3)燃焼室中心部では予混合燃焼によって小粒径のすすが大量に生成される。(4)OHラジカル自発光の出現はすすの出現時期よりも遅れる。等の結論が得られた。
3) 可視化副室式ディーゼル機関における非定常噴霧火炎の燃焼解析
当該機関においてOHラジカル自発光と二色法による火炎温度・相対すす濃度等の分布計測を行った。その結果、(1)副室内の流動は燃焼初期には反時計回りである。(2)燃焼中期には副・主両室の連絡孔付近で火炎温度は低い。(3)OHラジカル自発光は連絡孔近傍と高温の火炎先端部に主として現れる。等の結論が得られた。

研究成果

• [文献書誌] 河合, 広瀬, 三宅, 千田, 藤本: "火花点火機関における自着火発生前反応の挙動" 自動車技術会論文集. 29・3. 11-15 (1998)
• [文献書誌] 倉田, 浅井, 千田, 藤本: "非定常噴霧拡散火炎内のすすおよび化学種の光学的計測" 同志社大学理工学研究所報告. 38・4. 171-182 (1998)
• [文献書誌] 山下, 大浦, 千田, 藤本: "渦流式ディーゼル機関の燃焼現象の解明" 同志社大学理工学研究所報告書. 39・3. 142-153 (1998)
• [文献書誌] 奥見, 中畝, 千田, 藤本: "LIFを用いた非定常予混合燃焼の基礎的解明" 同志社大学理工学研究報告. 39・3. 154-162 (1998)
• [文献書誌] Fujimoto,H., Kurata,K., Asai,G., Senda,J.: "OH Radical Generation and Soot Formation/Oxidation in DI Diesel Engine" Society of Automotive Engineers Technical Paoers. 982630. 1-11 (1998)
• [文献書誌] 千田, 横山, 池田, 伊福, 藤本: "液化CO_2溶解燃料によるディーゼル機関のすす,NO_xの同時低減" 自動車技術会論文集. 30・1. 15-20 (1999)
• [文献書誌] 倉田, 浅井, 千田, 藤本: "直噴式ディーゼル機関におけるすす粒子の成長.酸化に関する研究" 自動車技術会論文集. 30・1. 21-26 (1999)
• [文献書誌] 千田, 大西, 宇都宮, 若田部, 藤本: "壁面に衝突するガソリン噴霧の付着液膜計測" 自動車技術会論文集. 30・1. 33-39 (1999)
• [文献書誌] 千田, 神田, 草野, 藤本: "液膜形成と液滴・液膜干渉を考慮した壁面衝突噴霧の分散と混合気形成過程のモデリング" 日本機械学会論文集B編. 65・629. 389-396 (1999)
• [文献書誌] 宇都宮, 大西, 千田, 藤本: "ガソリン噴霧における壁面衝突燃料の挙動解析" 日本機械学会論文集B編. 65・629. 397-402 (1999)