高温超伝導浮上の特徴は、大きなピン留め力により強力な浮上力を得ることができるのみなるず、浮上系において反発方向とそれと直角の両方向に安定であることがあげられる。しかしこの系は通常の磁気浮上系と異なり、フラックスクリープ領域とフラックスフローのふたつの領域が存在するため、反発力と浮上変位の関係に大きな履歴特性をもち、また振動を受ける場合は振幅および振動数に対する非線形依存性を有する。したがってこの系を制御しようと場合、線形制御理論は適用できない。そこで本研究では、まず初年度に非線形復元力を求める理論計算式を導出し、それを適当なモデリングにより簡単化する方法を示した。さらに非線形性を考慮した周重み付き最適フィードバック制御の方法を開発した。本年度は非線形性を考慮したモデリングの方法を用いて高温超電導浮上ラジアル・スラスト軸受の制御法を検討した。その内容を要約すると (1)ひとつの高温超電導円盤を用いて全軸方向に非接触浮上する回転軸系を示し、かつその振動を電磁アクチュエータで制御する方法を提案した。 (2)上記高温超電導浮上軸受の危険速度乗り越しのための、モデリングの方法を示した。 (3)上記軸受の制御法として、「最適PD制御法」と「最適クロスフィードバック慣性力相殺制御法」のふたつの制御法を提案し、そのコントローラの設計法を確立した。 (4)実際に高温超伝導軸受系を試作し、最適PD制御法による実験を行い、かなりの効果のあることを確認した。
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