研究概要 |
複雑機器・構造体の超精密微振動制御のために,実験面と理論面で以下の研究を行った. まず,実験面では,半導体露光装置や電子顕微鏡などの精密機器を床からの振動から絶縁するために開発された空気バネ式除振台を対象として,そのダイナミクスのモデリングを行い,得られたモデルに従来の制御法を適用して,性能を把握した.そして,台上での装置の動きによって生じる振動を抑制するフィードフォワード制御の有効性を確認した.また,従来,問題がないと考えられていた低周波域において,水平方向のコンプライアンスが大き過ぎるという問題点を発見した.この問題の解決は来年度の課題である. 理論面では,動作環境が変化する制御対象を補間モデルによって記述する方法を確立し,そのような補間モデルを補間コントローラで安定化する方法の代表的動作点における基準モデル数が3以上の場合への拡張を行った.また,空気圧による制御遅れのもとでのロバスト制御法の研究,物理パラメータを保存するディスクリプタ表現に基づく安定化や,超精密微振動制御の場合に特に問題となるであろうコントローラのサンプリング時間,観測データから操作信号を計算するに要する時間,A/D変換器のビット数等の問題を含めた最適ディジタル制御法の研究を行った.さらに,除振台の制御と台上の装置の制御を別々に行いながら,全体の制御性能を達成するような分散制御の計算法を開発した.
|