研究概要 |
自動車タイヤの多角形摩耗に関して,基礎的な実験と解析を前年度までに終了したため,実際のトラック・バスおよび乗用車に対して多角形摩耗現象の解析を行った.その結果,トラックと乗用車における多角形摩耗現象の比較では,わずかながら乗用車の方が多角形摩耗を生じにくいことが分かった.また,タイヤ自身に起因する多角形摩耗のみならず,ばね下質量やばね上質量を含めた系の固有振動数による多角形摩耗の領域が拡大されることを明らかにした. ゴム巻きロールをほぼ交互に配置した抄紙機の12段スーパーカレンダに発生した不安定現象を,ゴムの振動特性を粘弾性特性として解析し,その実験結果との良い一致を確認した.カレンダ系の10次の固有モードが関与した下から2段めのゴム巻きロールの多角形化が解析で明らかになった.その他のゴム巻きロールも多角形化する可能性があることも明らかにした. 繊維機械のワインダ系の弾性糸糸玉に発生する多角形化現象を防止するための設計法の検討を行った.とくに,多角形化現象の原因をエネルギー概念から考察し,ロールの1点で接触するタイプのロールの多角形化現象を見極める極めて有効な指標を導入することができた. 福岡地下鉄およびJR各社で問題となっている直流モータのフラッシュオーバ現象を調査研究し,整流子を偏心のない回転体,4つのブラシを並進,回転運動が可能な剛体として,整流子とブラシの間のクーロン摩擦を考慮した解析を行った.その結果,まだ実機の結果と十分に一致する解析結果は得られていない.現在,実験装置を製作し基礎的な実験を通して解析結果の妥当性を検証している. 金属ロール間の接触回転において生じる円周部のパターン形成現象を実験的に研究した.塑性変形によるパターン形成,摩耗によるパターン形成など多くのタイプがあることが明らかになった.
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