研究概要 |
将来迎える高齢化社会を鑑み、家庭やオフィス環境において、人間により指令された作業を実現するロボットが必要である。本研究ではロボットが作業する環境内に、ロボットのセンシング・走行・通信・エネルギ供給機能を補助する機構を、必要最小限に適切に配置することで、ロボット機能を補助する「場」を形成する。この立場は、自動車が社会に導入された時に、道路・交通標識・信号等の環境整備が大いになされた事実に対応するものであり、妥当である。この形成により、高齢者、障害者等誰にとっても使いやすいロボット環境の生成が可能となる。 本研究では、以下のことを実現した.(1)センシング系の補助機構:ロボットが走行する際の自己位置同定機能を補助する人工ランドマークの設計を行った。(2)エネルギ供給の補助機構:ビルディングに点在している電源コンセントのエネルギをロボットに供給できる機構の開発を行なった。(3)環境の設計:上記で開発した要素機構をロボットの作業環境に適切に配置する必要がある。ここでは、機能の均等充足を考慮した最適配置設計を行なった。 本研究の意義には以下の2点が考えられる.(1)インフラストラクチャとしての実用的なロボットの構築が期待できること.本研究は都市のインフラストラクチャを、実際に建物内外で実働するロボットを利用して研究するところに特色があった.これにより、ロボットの適用範囲の飛躍的増大を生む可能性がある。(2)将来的に迎える高齢化社会に向けて,国際的意義が大いにあること.産業用ロボットでの圧倒的な先進国である日本として,高度情報化社会が提供する様々な機能を,社会的弱者へ提供する手段は国際的協調の基に研究されるべきであり,時宜を得た研究成果であった.
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