研究概要 |
理想的柔軟性が実現可能な関節メカニズム(MIA : Mechanical Impedance Adjuster)を実装した人間形力制御マニピュレータ(Seven-D.O.F. MIA ARM)を開発した.さらに,このマニピュレータの制御システムおよびソフトウェア開発を行った.以下に項目別の研究成果を示す. (1)機械ハードウェア MIAを用いた3自由度手関節を開発した.また,この手関節を4自由度上腕部に実装し,7自由度人間形マニピュレータ・アームを構成した.基本的な性能は,手先加速度1.1[G],手先速度1.0[m/sec],手先位置決め精度±0.41[mm],可搬重量3.0[kg]で,総重量19.7[kg]である.また,手先に3.0[kg]の負荷を加えた状態で,0.1〜16.7[Nm/deg]の範囲のコンプライアンスを0.48[sec]で変化できる. (2)コンピュータシステム 制御用コンピュータシステムは,オペレータとのインタフェースと運動計画を担当する上位レベル,多関節協調制御と関節サーボ制御を担当する下位レベルの2層から構成される分散処理システムとした.上位システムと下位システムの接続にはDual-Port RAMを用いているため,高速なデータ通信が可能であり,また拡張性にも優れている. (3)制御ソフトウェア MIAマニピュレータの力学モデルおよび多関節協調制御則を構築し,実時間で制御するためのソフトウェア開発を行なった.これにより,柔軟性実現に伴う静力学的な位置偏差,動力学的な関節間の干渉などの問題を解決し,高柔軟状態での高速マニピュレーションが可能となった. また,開発した機械ハードウェアと制御システムを結合することで,Seven-D.O.F.MIA ARMによる既知平面に対する拘束作業(窓を拭く動作),既知形状の物体の包絡(物を抱き上げる動作)などの力制御を必要とする作業を実現した.
|