研究課題/領域番号 |
08455125
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 淳 北海道大学, 工学部, 教授 (40001797)
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研究分担者 |
遠山 篤 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (60142783)
田中 英一 北海道大学, 工学部, 助手 (10124538)
北 裕幸 北海道大学, 工学部, 助教授 (30214779)
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キーワード | 電力系統 / 発電機制御 / 安定化制御 / 非線形ディジタル制御 / 加速度制御 / 安定度 |
研究概要 |
電力系統の大規模化、複雑化、立地上の制約による電源の遠隔化、偏在化、大容量化などに伴い、系統の安定性及び信頼性を維持向上させることは極めて重要な課題となっているが、発電機制御系の高性能化、高信頼度化は、系統の安定度向上の観点から非常に有効な対策の一つと考えられている。制御系を含めた発電機の動作は非線形な特性を有しており、一般に動作点近傍での線形化に基づく線形制御理論の適用が行われているが、動作点が大きく変化する場合には線形化の誤差が問題となる。 本研究では、加速度制御の概念に基づいた非線形ディジタル制御理論の適用により、動作点に依存しないロバストな同期発電機制御方式の確立を目的とする。すなわち、ステップ状の外力が加わった直後に変化するのは加速度だけで位置や速度は変化しないが、この考え方に基づいた定式化によって非線形な項が消去され、動作点に依存しない線形な制御対象モデルが得られる。このモデルに対して、線形制御理論に基づく最適制御系を構築する。本年度は、同期発電機の励磁系・ガバナ系協調制御に非線形ディジタル制御理論を適用するための準備的な検討を行い、以下のような成果を得た。 1.同期発電機の励磁制御系及びガバナ制御系における現行方式および最近の開発動向に関する調査研究を行い、電力系統における同期発電機制御の現状を明らかにした。 2.同期発電機制御に加速度制御の考え方に基づく非線形ディジタル制御理論を適用するための定式化並びに制御系設計のためのアルゴリズムの開発を行い、さらにワークステーション上で設計、並びにシミュレーションを実行するためのプログラムを作成した。実際の発電機制御系は非常に複雑なシステムであるが、基礎的検討ということで主要な特徴を抽出したモデルを用いている。 3.基本的な特性を調べるためのモデルである一機無限大系統を対象として、シミュレーションにより提案方式の制御性能を調べた。特に、前述のようなモデルの簡略化による影響や、モデルパラメータの違いによる影響、さらに、代表的な非線形要素であるリミッタの影響に関して詳細な検討を行い、提案方式の有効性を確認した。
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