研究概要 |
本年度の研究成果を以下に要約する. (1)交流損失の測定 外部磁界が存在しても交流通電損失測定できる方法を開発した.本方法は従来から問題になっていた電圧リ-ド線の配置方法に新しい工夫をほどこしたもので,他の線の磁化の影響を受けないことを解析的及び実験的に検証した.この方法によりビスマス系(Bi2223およびBi2212)銀シース線材について測定を行った.その結果,外部磁界が存在しない時の損失特性は従来の方法と良く一致するが,外部磁界が存在するする場合は従来の方法では正確な値が得られないのに対して,我々の方法は妥当な結果,即ち,解析結果と一致する結果が得られた.Bi2212銀シース線材について77Kおよび4.2Kにおいて損失特性測定を行った.その結果,測定値は77Kにおいてはビーンモデルにより計算される交流損失と良く合う事が示されたが,4.2Kでは合わなかった.この原因は現在不明であるが,今後の研究で解明する予定で,これに基づき交流損失の機構がより正確に理解できると考えている. (2)交流損失のメカニズム 交流低温超伝導線に関しての損失メカニズムを参考にマルチフィラメント/ショートツイストピッチの高温超伝導線の損失特性を予測し,超伝導電力ケーブルの損失特性の予測を行った.その結果,従来予測されていた超伝導に対する要求性能により低い性能でも電力ケーブルが実用化できる可能性が示された. (3)集合導体の交流損失特性 交流損失を増大させる要因である偏流を緩和する方法を考え,解析によりその妥当性を検証した.
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