本研究では、(1)予算縮小に伴い、実車製作の替わりに、EVシミュレータを製作し、電気自動車の走行を模擬的に実験した。EVシミュレータは相反モータの2個のロータにトルクメータを介してDC発電機を接続し、走行状況に応じた走行負荷を速度と時間の関数としてパソコンから指令し、パワーアンプを経てDC発電機のトルクへと変換される。等価的に、パソコンで指定される道路状況を走行している状態が模擬できる。(2)相反モータの片側がスリップしても安定に走行できるようなトラクションコントロールを提案し、実証した。(3)申請者が提案しているスリップ周波数に基ずく速度センサレス制御において、速度推定アルゴリズムを改良した。その結果、外部から信号を加えないでも、二次抵抗の推定が可能になり、実験にて確認した。さらに、1次抵抗の推定も可能となった。しかし、インバータの出力電圧が指令値と厳密に一致しないと、低速度域での速度推定に無視できない程度の誤差を生じることがわかった。この点は今後の課題として残った。低速度域での速度推定は5rpm程度まで実証した。
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