研究概要 |
近年,パワーエレクトロニクス技術の発展により,電力用半導体素子を用いた電力・電子機器が数多く使用されるようになってきた。一般産業用パワーエレクトロニクス機器やインバータエアコン,テレビ・OA機器などの家電・汎用品が発生する高調波電流が配電系統に流入し,現代社会の新たな"公害"として早期対応が迫られている。 平成8年度では,配電系統に分散設置する並列形アクティブフィルタの等価モデルと高調波拡大現象の抑制効果を,理論とシミュレーションにより詳細に検討した。研究成果を要約すると以下のようになる。 1.電源電流検出方式(微分補償付)の並列形アクティブフィルタは,検出した高調波電流を抑制する電流源として動作し,高調波に対して設置点の上位側を開放した等価モデルとなる。従って,電源電流検出方式(微分補償付)は配電系統の最上位に設置して上位系に流出する高調波電流の抑制に適しているが,設置点の上位系統や下位系統に不特定多数の高調波発生源や進相コンデンサが存在する系統(フィーダ)内の高調波拡大現象を抑制することはできない。 2.電圧検出方式の並列形アクティブフィルタは,ダンピング抵抗として動作するので,系統内の高調波拡大現象を効果的に抑制できる。従って,電圧検出方式は配電系統用アクティブフィルタに最も適した高調波検出方式である。 3.フィーダ内およびフィーダ間の高調波拡大現象を同時に抑制するには,各フィーダの幹線の最下位に電圧検出方式の並列形アクティブフィルタを分散設置するのが有効である。
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