研究概要 |
大強度パルスイオンビーム蒸着法(IBE)を用いて、強誘電体材料BaTiO_3の成膜実験と特性分析を行い、以下の成果を得た。 1)背面堆積パルスイオンビーム蒸着法(IBE/BS)を初めて提案し、例証実験を行った。、従来の正面堆積法で問題となっていた薄膜表面のドロップレットによる付着物を、IBE/BS法によって除去に成功し、50〜100nm/shotの成膜速度が得られた。 2)IBE/BS法を用いて、室温のAl/SiO_2/Si(100)基板上に得られたBaTiO_3薄膜について、各種分析を行った。その結果、得られた薄膜はBaTiO_3多結晶薄膜であり、比誘電率が10Hz〜100kHzの周波数範囲でほぼ一定(〜30)であることがわかった。 3)基板温度を250℃まで加熱することにより、得られたBaTiO_3薄膜の比誘電率が〜110に上昇した。加熱しない場合には周波数の増加に伴い静電容量が低下したが、加熱することによりほぼ一定となり、特性が大幅に向上した。 本研究では、IBE/BS法により、比誘電率が〜110のBaTiO_3薄膜が作製できたが、これは他の強誘電体材料(例えば、SrTiO_3,(Ba,Sr)TiO_3,PbTiO_3,Pb(Zr,Ti)O_3等)の成膜も可能であることを示唆している。これらの強誘電体材料の成膜の実証が本研究の次のステップである。
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