研究概要 |
新磁性材料として注目されている物質に、非磁性体(Ag,Cu,Auなど)中に、磁性超微粒子(Co,Fe,Ni)を埋め込んだ、非固容系ナノグラニュラー磁性薄膜がある。本研究では、非磁性体と磁性金属のアモルファス合金薄膜を作製して、その膜に細く収束した電子ビームを照射することにより部分的にアニールを施し、微粒子の析出を促して、サブミクロン以下の分解能でグラニュラー状態のパターンの形成を目指している。現在まで得られている結果の概要は以下の通りである。 1.部分的グラニュラー化のためにイオンスパッタ法により厚さ200ÅのCo/Cu(3/7)アモルファス薄膜をSiNの厚さ100Åの保護膜でサンドイッチしたものを作製し、実験用の試料とした。試料の支持にはTi製のグリッドが適していることがわかった。 2.スパッタ蒸着で作製したままの膜でも、わずかに微結晶の析出が観察されたが、200keV、1A/cm^2程度の電子線照射では結晶化に変化は見られなかった。 3.加熱ホルダーを用い、試料を140℃で30分間加熱すると、結晶粒の成長が見られだし、200℃約1時間で結晶化は大きく進すんだ。この時、電子線は観察時にのみ照射しており、その影響は無視できる。 4.Co/Fe/Bアモルファス膜に1000keV電子を10A/cm^2で数十秒照射することにより、試料を特に加熱すること無く結晶化させることができた。 そこで現在、 1.200kV透過型電子顕微鏡の電流密度を100A/cm^2にまで増やし、100〜150℃位の試料温度で、電子線を照射した領域のみで結晶粒を成長させる。 2.1000keV電子線でCo/Cu(3/7)アモルファス薄膜の結晶化させる。 3.上の2種類の方法でのグラニュラー化の過程を、ローレンツ電顕法、または、電子線ホログラフィにより観察する。 ことを計画中である。
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