研究概要 |
平成8年度の実験結果を踏まえ、高真空化(2×10^<-7>Torr)したチャンバーを用いてn形6H-SiC基板(n〜10^<18>cm^<-3>)にBドープおよびWオーミック電極形成を行い、以下の結果を得、一部を国際会議で発表した。 (1)ガス系からのBド-ピングと電気的特性解析 トリ・メチル・ボロン(TMB)と水素の混合ガス(TMB:1000ppm、100Torr)をBの不純物源として使用し、不純物ガス雰囲気中に置いた試料表面(n 6H-SiC、Si面、n=1.8×10^<18>cm^<-3>)をエキシマ・レーザー光(KrF:0.8J/cm^2、1Hz)により1000〜5000パルス照射した。このド-ピング条件により、レーザーパルス数に比例してBを10〜20nm範囲に制御してドープ可能で有ることが明かとなった。SiC標準試料の作製によりB濃度の定量化が可能となる。AFM、SEM観察から、このド-ピング条件ではレーザー照射による表面荒れも全く問題にならない。種々の熱処理の後Van der Pauw法によるHall効果測定で伝導型の判定を試みたが、現時点ではp形伝導の確証は得られていない。1700°Cまでの高温熱処理を含めて電気的活性化を引き続き検討する。 (2)Wドープ高耐熱オーミック電極の作製、評価 真空チャンバー内(1×10^<-6>Torr)におけるWペレットのレーザー・アブレーション(KrFエキシマ、2.5J/cm^2)によりW薄膜をn形6H-SiC基板に堆積させ、同じチャンパー内で上記エキシマ・レーザー(1.5J/cm^2,100パルス)を照射してWオーミック電極を形成した。ビームシェ-パによりレーザー光を整形することにより、照射エネルギー密度の均一化が図られ、表面荒れの極めて少ない良好なオーミック電極が形成された。SIMS,XPSによる分析の結果、分布深さ10-20nmの極めて急峻なWドープ層が形成されており、W層とSiC基板との直接接触が実現している。詳細なXPS評価によっても、W-Si,W-Cなどの化合物は見いだされていない。4探針法による接触抵抗評価により2.2×10^<-4>Ωcm^2の接触抵抗値を得た。この値は加熱処理によって得られる抵抗値と同等又はより良好な値であり、尚且つ室温で電極が形成されている点にこのプロセス技術の優位性が有る。真空中1000°C、2時間の熱処理で電極特性に変化が無いことを確認した。この結果はInternational Conference on Silicon Carbide, IIIーnitrides and Related Materials(1997年8月31日ー9月5日,Stockholm), 第6回SiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会(1997年11月26-27日、東京)に於いて講演、及び発表した。
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