研究概要 |
我々は新機能デバイスをめざして、絶縁薄膜として単結晶Al_2O_3薄膜を用い、Si基板上へのエピタキシャル法で多層SOI構造(Si/Al_2O_3/Si/Al_2O_3/Si)を形成させ、高温度用のピエゾ形圧力センサを開発し、実用化してきた。しかしながら、さらに高度な機能デバイスをめざすために、高品質なSOI結晶が望まれている。最近、Si基板上の単結晶Al_2O_3成長において、固体Al源を用いて、高品質で平坦なAl_2O_3薄膜成長に成功した。しかしAl_2O_3上のSiは、島状に3次元成長するために表面の凹凸を避けることができず、Si薄膜(〜0.1μm)を必要とする薄膜MOSトランジスタや量子効果デバイスへの応用には困難であった。これらのデバイスへの応用を実現させるためには、Al_2O_3上のSi成長を3次元成長から2次元成長に変換できるか否かが重要な課題として永年残っていた。 SiとAl_2O_3界面において、数原子層のAlのバッファ層を導入する基板表面制御法を用いて、これまでにない超平坦なSi膜が得られた。(Appl.Phys Lett.,68(1996)3001-3003.に発表)。Alバッファ層の導入によりSi表面の平坦性は、Siウエハのようになり、素晴らしい改善が見られた。このようにAlバッファ層を用いることでついに3次元成長から画期的に2次元成長に変えることがでた。その結果、超平坦なSi表面を得ることができ、これまでの問題点を解決できる見通しを得た。これにより単結晶Al_2O_3薄膜とSiとの超薄膜多層構造デバイスの可能性がでてきた。また、表面原子構造を同軸型イオン散乱分光装置で解析し、そのメカニズムの解明を現在行っている。
|