高度な機能デバイスをめざすために、高品質なSOI(Si on Insulator)結晶が望まれている。Si基板上の単結晶A1_2O_3成長において、固体A1源を用いて、高品質で平坦なA1_2O_3薄膜成長に成功した。しかしA1_2O_3上のSiは、島状に3次元成長するために表面の凹凸を避けることができず、Si薄膜(〜0.1μm)を必要とする薄膜MOSトランジスタや量子効果デバイスへの応用には困難であった。これらのデバイスへの応用を実現するためには、A1_2O_3上のSi成長を3次元成長から2次元成長に変換できるか否かが重要な課題として永年残っていた。サファイ(A1203)上へのSiヘテロエピタキシャル成長は、永年研究されてきたが、成長初期には島状の3次元成長を根本的に変えることができなかった。SiとA1_2O_3界面において、数原子層のA1バッファ層を導入する基板表面制御法を用いて、これまでにない超平坦なSi膜が得られ、素晴らしい改善が見られた。このようにA1バッファ層を用いることでついに3次元成長から画期的に2次元成長に変えることができ、これまでの問題点を解決できる見通しを得た。そして、今までにない新たなヘテロ成長法の概念を提案できた。この結果をもとに、Si系発光素子や、単結晶シリコンと絶縁膜を介してのトンネル効果による2重障壁共鳴トンネル面電子放出源量子構造デバイスをめざすと、数nmの極薄膜成長の原子層レベルでの制御とその成長メカニズムの解明が必要となる。そのため、数nmの単結晶絶縁極薄膜とシリコン極薄膜を平坦に交互に成長させるための条件のさらなる確立を行った。A1バッファ層成長装置はさらに改良を加え、新たな成長法の開発と評価を行い、上記目的を達成できる見通しを明らかにすることができた。
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