研究課題/領域番号 |
08455147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮崎 誠一 広島大学, 工学部, 助教授 (70190759)
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研究分担者 |
廣瀬 全孝 広島大学, 工学部, 教授 (10034406)
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キーワード | 光電子収率分光 / 表面・界面欠陥 / 界面準位 / 表面準位 / 極薄シリコン酸化膜 / 電子占有状態 / 仕事関数 / フェルミ準位 |
研究概要 |
Xeランプ(500W:平成8年度主要設備備品)を光源として、エネルギー範囲3〜6eVにおいて、ダブルモノクロメータ(平成8年度主要設備備品)を用いて単色化した紫外光を合成石英窓を通して、超高真空チャンバー内にセットされた試料(真空蒸着Au薄膜、表面水素終端されたSi基板及び極めて薄く(厚さ3mm以下)熱酸化したSi基板)に照射した。試料に数十V程度負バイアスを印加することで、試料表面から放出された全光電子を静電レンズ系を通してチャネルトロン検出器によって計測した。まず初めに、蒸着Au薄膜の実測スペクトルを入射フォトン数で規格化して、入射エネルギーの関数として求めた光電子収率スペクトルから、本年度構築した光電子収率分光システムの性能、特に感度及びエネルギー分解能を評価した。その結果、試料表面近傍(〜10nm)の電子占有状態を約8桁に渡って評価可能であることが分かった。また、Fowlerプロットによって求めた蒸着金薄膜の仕事関数は5.08eVとなり、文献値とよく一致することを確認した。次に、原子レベルで平坦化した水素終端Si (111)において、高濃度(>10^<18>cm^<-2>)不純物添加によって生じたバンド裾準位を観測することができることを明らかにした。また、n^+型(N_D〜4×10^<17>cm^<-2>)試料及びp型(N_A〜1.3×10^<15>cm^<-2>)試料では、それぞれ10^<11>〜10^<12>cm^<-2>程度の表面準位が残留していることが分かった。n^+型試料において残留表面準位密度が高いのは、(1)禁制帯中央より伝導帯側の表面準位を検出できることと(2)p及びp^+型試料に比べ大気中での自然酸化の進行が著しく速いために、化学洗浄後、分析チャンバーへ試料導入するまでの間に局所的に表面酸化が進行したためと考えられる。更にn^+Si (100) (N_D〜2×10^<19>cm^<-2>)を化学洗浄後1000℃dry酸化によって形成した厚さ2.5nmの熱酸化膜を評価した結果、熱処理をしていない状態で、約10^<12>cm^<-2>/eVの界面準位の存在が明らかになった。この界面準位が水素アニールで消滅してゆく過程を今後調べる必要がある。現在の光電子収率システムの検出下限は、実測収率量及び光学系効率を考慮すると、1×10^<10>cm^<-2>/eV程度と見積もられる。また、今後5〜6nmの酸化膜の界面欠陥準位密度をC-V測定の値と比較すること及びケルビンプローブを用いてフェルミ準位位置を実測することで、より高い精度で界面準位密度分布を定量評価する手法を確立してゆく。
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