研究課題/領域番号 |
08455159
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
白木 広光 茨城大学, 工学部, 教授 (50272109)
|
研究分担者 |
木村 孝之 茨城大学, 工学部, 助手 (50302328)
針生 尚 茨城大学, 工学部, 教授 (40005301)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
キーワード | CCDセンサ / 増幅型撮像素子 / 蓄積可能電荷量 / 基板不純物密度 / 飽和信号レベル変動 / N^+側壁 / 裏面駆動CCD / 超高光感度 |
研究概要 |
平成8〜10年度科学研究費補助金による研究実績は次ぎの通りである。 (1) 増幅型撮像素子およびCCDセンサにおける蓄積電荷量増大に関する事項:これらの素子に使用するホトダイオードの外周にN^+側壁を設けて蓄積電荷量を増大させる方法を提案した。この構造においてダイオード半径やN^+側壁の密度を変えた場合の蓄積電荷量増大の原因を調べた。その結果電荷量が増加する理由は、チャネルストップとN^+側壁の境界付近で大きな電位上昇が生ずるため、蓄積層の電位分布が平坦になり、電子が蓄積層全体に分布するためであることが分かった。また従来の構造では信号電荷量を大きくできない理由は、蓄積層の中央に電荷が集中し、蓄積された電荷量が少なくてもオーバーフローが起こるためであることが分かった。またN^+側壁を設けても増幅型撮像素子やCCDセンサの駆動電圧の上昇は殆どないこと、さらにN^+側壁を設けることの効果はダイオード半径が大きいほど大きいのでセルの微細化に適することもわかった。 (2) CCD撮像素子における基板不純物密度の揺らぎに基ずく飽和レベル変動(固定パターン雑音)に関する事項:CCDセンサは不純物密度が約3×10^<14>/cm^3程度の基板に作られる。この場合ブルーミングを抑制するため基板電圧を高くすると、著しい飽和信号レベル変動が現れる。飽和信号レベル変動が無視できるほど少なくなればダイナミックレンジを数桁広くした撮像システムが可能なる。そこで基板不純物密度と飽和レベルの関係を解析し、それらの関係を明らかにした。また飽和信号レベル変動を抑制するためチャネルストップ領域を深くする構造を提案した。この構造について三次元数値解析を行った結果、基板不純物レベルが±10%程度変動しても飽和信号レベルは殆ど変化しないことが分かった。 (3) 裏面駆動CCDレジスタに関する事項:光入射面側に電極を持たないCCDレジスタを提案した。この構造では厚い高濃度の表面層とバリア層の間の狭い領域に電子を閉じこめることができるので、極めて高感度なフレーム転送型のCCDセンサを作ることが可能である。この構造を最適化するため種々の構造についてシュミレーションを行った。その結果、表面層、蓄積層、およびバリア層の不純物密度を上げ、バリアと転送チャネルの幅を薄くすると多くの電荷を転送できることが分かった。 (4) ディジタル信号処理によるCCDセンサの雑音除去に関する事項:通常CCDなどの出力は相関2重サンプリングなどのアナログ処理を行ってから計算機にとりこまれる。しかし高速で高精度な処理ではディジタル処理が勝っている。そこでCCDセンサの出力を直ちに計算機に取り込み、ディジタル信号処理を行うことによって雑音を少なくともアナログ処理のレベルまで減少できる可能性を示した。
|