高機能な光集積回路を実現するために、異種結晶を一つの基板上に作り付ける必要がある。近赤外用半導体レーザのInP基板上に、光アイソレータの構成に必要不可欠な磁気光学材料の希土類鉄ガ-ネット(LuNdBi)_3(FeAl)_5O_<12>(Bi:LuIG)を、接着剤を使わずにダイレクトボンディングによって集積化できることを実証することと、ボンディングウエハでレーザを製作するプロセスを確立することが本研究の目的である。研究によって得られた成果を以下に要約する。 1.ボンディング熱処理の低温化 ボンディングの熱処理低温化につながる有効な試料表面処理方法を探索した結果、InPとBi:LuIGについてそれぞれ最適な表面処理方法を見いだすことができた。この結果、ボンディングした試料を、デバイス製作の典型的なプロセス(エッチング、熱処理、プラズマ雰囲気等)にさらし、プロセスを経た後でもボンディングが維持されているかどうか観察して、ボンディングの耐性を評価した。さらに水素雰囲気中で熱処理した場合に、Bi:LuIGの光吸収損失増大を抑制できる温度範囲を明確にした。 2.集積型アイソレータの考案 ダイレクトボンディングを利用して半導体光素子と集積化するデバイス化プロセスと整合性のとれた集積型光アイソレータの新しい構造を考案し、デバイス設計を明らかにした。 3.デバイス化プロセスの検討 半導体レーザの構造形成に必要なエッチングプロセスをウエットエッチングならびに反応性イオンエッチングで行う条件を確立した。また、InPとSiO_2がダイレクトボンディングによって接合できることを明かにし、ダイレクトボンディングの適用範囲を拡大することに成功した。
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