衛星移動体通信用コプリ-ナ給電アクティブアンテナの基礎的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08455171
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 伊藤 公一 千葉大学, 工学部, 教授 (90108225)
• キーワード: コプレーナ線路 / アクティブ素子 / 有限時間領域差分法 / 衛星移動体通信 / ビーム切替アンテナ / 静止衛星

研究概要

コプレーナ線路で給電する円編波として、スロットループで構成された新しい素子を考案した。本アンテナ素子は、誘電体基板の片面に給電線路およびアンテナ素子が構成されているため、その製作が容易で、またアクティブデバイスの装荷が安易であるという特徴を有する。アンテナ素子の特性を有限差分時間領域法による電磁界シミュレーションにより明らかにし、試作および実験によりその動作を確認した。また、本アンテナの動作原理についても詳細な考察を行った。
さらに、衛星移動体通信における移動局用アンテナとしてアレー化した場合の特性について計算機シミュレーションによって検討した。本シミュレーションは、パソコン上で動く電磁界シミュレーションソフトによってモーメント法により行った。本アレーアイテナは、静止衛星を用いた移動体通信において音声、データおよびファクシミリ等のサービスを行なう携帯端末用のアンテナとしてその研究を行っている。本アレーアンテナは、4素子で構成されしており、このうち任意の1素子について給電位相を変えるか、もしくは、4素子のうち任意の3素子を給電することによって、所望の指向性を得ることができる。本研究では、両方の場合についてシミユレーションし、どちらの場合でも前記のシステムで要求される利得を満たすことが可能なことを示した。本シミュレーション結果の妥当性は実験により確認した。また、ビーム切替回路としてアクティブ素子を用いたマイクロ波回路を試作し、これとアンテナと組み合わせることにより容易にビーム切替を行えることを示した。最後に本回路の影響を含めた特性の評価を行った。

研究成果

• [文献書誌] 坂口拓史: "移動体衛星通信用ビーム切替型円偏波プリントアンテナの構成" 映像情報メディア学会技術報告. 21. 25-30 (1997)
• [文献書誌] 野呂崇徳: "FD-TD法によるアクティブアンテナ用スイッチング回路の検討" 映像情報メディア学会年次大会. 349-349 (1997)
• [文献書誌] Shi-ichiro Mastsuzawa: "FDTDAnalysis of Circularly Polarized Slot Array Antenna Fed by Coplanar Waveguide" 1997 IEEE AP-SInternatioan Symposeum(Monteal Canada). 2. 1264-1267 (1997)
• [文献書誌] 松沢晋一郎: "移動体衛星通信用円波ビーム切替アンテナの放射特性" 電子情報通信学会技術報告. A・P97-81. 9-14 (1997)
• [文献書誌] 松沢晋一郎: "FDTD法における移動体衛星通信用円偏波スロットアンテナの検討" 1997年電子情報通信学会ソサイエティ大会. B-1. 12-12 (1997)
• [文献書誌] 松沢晋一郎: "コプレーナ給電円偏波スロットアンテナ" 電子情報通信学会論文誌. J80-BII. 871-878 (1997)
• [文献書誌] 野呂崇徳: "移動体通信用ビーム切替型アンテナのスィッチ回路に関するFDTD解析" 映像情報メディア学会技術報告. ROFT98-26. 31-36 (1998)
• [文献書誌] 西垣洋: "車載用衛星簡易追尾型プリントアンテナの検討" 映像情報メディア学会技術報告. ROFT98-25. 25-30 (1998)
• [文献書誌] 辻剛史: "移動体衛星通信用円偏波パッチアレーアンテナのビーム切替特性" 電子情報通信学会技術報告. A・P97-205. 31-38 (1998)
• [文献書誌] 野呂崇徳: "スィッチ回路を含むストリップダイポールアンテナのFDTD解析" 電子情報通信学会東京支部学生研究発表会. 36-36 (1998)
• [文献書誌] 松沢晋一郎: "FDTD法を用いた60GH_Z帯コプレーナ給電円偏波スロットアンテナの放射特性の検討" 電子情報通信学会総合大会. B-1. 74-74 (1998)
• [文献書誌] 本谷智宏: "小形ビバルディアンテナの周波数広帯域化に関する検討" 電子情報通信学会総合大会. B-1. 171-171 (1998)