研究概要 |
光フアイバ通信システムの大容量化、機能の柔軟化をはかるために、半導体光増幅器の超高速三次非線形効果を用いた光信号処理機能をシステムに導入することを目的としている。本年度はこの目的のために、位相共役デバイスの試作・評価、位相共役光伝送システムの設計を行った。 まず、リング共振器内部に半導体光増幅器を設置してこのレーザの発振光を四光波混合のポンプ光として用い、信号光とアイドラ光は非共振とした新構造の位相共役デバイスを試作し、その性能を評価した。ポンプレートR=9では-20dB以上の高い変換効率が得られている。またこのときのS/N比は、帯域0.05nmの場合、35dBであった。光増幅器の利得は発振波長での損失によって決まるが、レーザ発振光は出力しないので増幅度を低く抑えることができる。このためASE雑音が抑圧され、S/N比が向上することがわかる。また、外部からポンプ光を結合する必要がないので共振器内のポンプ光強度を高くすることができ、変換効率が向上している。 光ファイバ伝送路の中点で信号光の複素共役(位相共役)をとりこれを伝送路の後半に送出させれば、位相回転が逆転して伝送波形歪が除去できる。本年度は本方式の設計理論を確立し、その伝送限界を明確化した。40Gbit/s-10,000kmの伝送が可能であり、波長多重により1Tbit/sにせまる容量が達成可能との結論が得られている。
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