研究概要 |
本年度は磁気記録の超高密度化を推進するに当たって留意すべき問題点を、特にTCPR(Trellis Coded Partial Response)方式と二次元符号の観点から検討を行った。まずTCPR方式については、著名なUngerboeck-Wolfの論文においてPR(1,1)とPR(1,-1)とは同様な特性となるとの見通しが示されていたが、これまでの高密度化に関する我々の検討を元にすると、この見通しには不十分な点があるとの判断がなりたつ。このため、符号化率η=1/2と低い条件下で両者のビット誤り率(BER)特性の検討を行った。その結果、規格化線密度KがK<=1.5の範囲において両者はほぼ同等、あるいは若干PR(1,-1)の方が優れたBER特性を示すことも見られたが、K>1.5となるとPR(1,-1)は急速に劣化し、他方PR(1,1)はなお有効であることが確認された。現在PR(1,1)についてはη=2/3及び3/4を終えて4/5の場合の検討に取り組んでいるが、符号化率が高くなると状態数が指数関数的に増加する難点が未解決である(並列推移を行わすと状態数は減ずることは出来るが最小自由ユークリッド距離d^E_<free>は悪くなる)。ただデコーダートレリスでマージする状態を元にd^E_<free>を大きくするラベル割り当てを行う試みは、この問題解決にかなり有効であるとの知見を得ている。次に二次元符号については、一次元符号において決して実現出来ないK<dの特長を有する符号が果たして実際に構成可能か、可能な場合、一次元符号と比較してBER特性はとうなるか、という問題に取り組んだ。勿論、TCPR方式の二次元化は可能であるとの見通しを持った上である。結果としてd=2,k=1の符号を2トラックと3トラックの場合について構成し、K=2.0において従来の代表的な一次元符号である(2,7)RLL符号より優れたBER特性が得られることを明らかにしている。
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