本研究は、マルチメディア情報通信時代における多チャンネル光交換システムの実現のため、強誘電性液晶の非線形効果による高速スイッチング特性を利用した多チャンネルの小形光スイッチを実現し、これを用いた光交換システムの可能性を明らかにすることを目的としたもので、具体的には下記4項目の課題について研究を実施し、成果を得た。 1. 小形光スイッチ構成法の研究 多チャンネル光スイッチを小形に実現するための構成方法を検討し、偏光制御素子を用いた新しい積層平板型スイッチの構成案を得た。 2. 強誘電性液晶偏光制御素子の研究 液晶面に対して45゚斜め入射光に対して動作する偏光制御素子の研究を行い、波長0.85μmおよび1.3μmにおいて実験的に素子実現性を確認した。また理論設計式を導くための指針を得た。 3. 液晶偏光制御素子を用いた光スイッチの開発 多チャンネルスイッチの基本要素となる2×2スイッチを液晶素子を用いて波長0.85μmおよび1.3μmにおいて実際に試作し、動作確認を行い、本構成法の有効性を明らかにした。 4. 光交換システムの基礎実験 上記で試作した光2×2スイッチにより、波長1.3μmにおいて光交換の基礎実験を行い、入力ポートに光ディジタル信号を加えて誤り率特性の測定などの伝送特性を測定し、符号劣化なく光ディジタル信号の交換が可能であることを確認し、本研究の妥当性を実証した。 以上により本研究の妥当性を実証できた。また、実用化に向けた今後の研究課題が明確になった。すなわち、(1)液晶偏光制御素子の動作理論と設計法の確立、(2)1.55μmを含む長波長帯液晶素子および光スイッチの開発、(3)光スイッチの多チャンネル化 等である。
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