本研究では以下の研究成果を得た。 1.遅延時間の超高分解能による多重波伝搬構造の解明 自作の3GHz帯多重波遅延時間測定装置を用いて多重波伝搬特性測定を実施し、その結果、多重波発生の原因を究明することが出来た。 2.屋内多重波伝搬特性の解析 Ray tracing法による3次元屋内多重波伝搬の予測を行ない、窓からの透過波を考慮することで、より現実的な遅延プロファイルの予測が可能になった。 3.能動フェージング発生法一般化の検討 上記の結果を基に能動フェージング(以下Active fading)の具体的な発生方法について検討し、部屋の中心の天井付近にわすかにずらせて設置した複数の指向性アンテナから異なった位相の回転速度を持った信号を送信すればPSK-RZ方式を有効に作用させることのできるActive fadingを発生できることが分かった。この検討のためにグラフィカルなシュミレーションツールを開発した。 4.屋内実験系の整備と誤り率測定 パソコンペースの任意波形発生回路により複雑な伝搬路となるActive fading環境下でのフェージングを発生できる実験系を構築し、本研究で提案したPSK-RZとActive fadingの組み合わせによる誤り率改善効果を実験的に確認した。また、本実験系では標準的な2波レイリーフェージング下での誤り率測定も可能であり、従来方式での実験結果との実験的な比較対照が可能である。 5.周波数分割多重化による高速の検討 本方式は周波数分割多重化を図ることに更に伝送速度の高速化が可能と考えられるため、100Mb/sを目標に検討を行なう予定である。
|