研究概要 |
1.ウエーブレット変換による特徴抽出 時間とともに統計的性質が変化するプラントを対象として,その入出力信号をウエーブレット変換の手法を用いて解析した.その結果,ウエーブレット変換により導き出されるウエーブレット変換係数によって,制御対象の非定常性が効率よく抽出,表現できることを確認した.また,ウエーブレット変換の多重解像度分析能力を用いて,信号の主要成分である大域的特徴量と,補助的な成分である局所的特徴量が独立に抽出できることを検証した.また,それら階層構造を持つ特徴量群を自動生成するソフトウェアを開発した.さらに,コンパクトな特徴量を得ることを目的として,ウエーブレット基底関数,スケール係数,シフト係数の設定など,信号の知識表現方法について検討した. 2.事例ベースの作成 1で導き出した階層構造を持つ特徴量群に対し,画像の階層符号化技法を適用することにより,抽出した知識を劣化させることなくコンパクトに表現する方法を開発した.さらに,各層ごとに類似性により分類し,類似の特徴量同士を共有化することで系統的にデータベースに格納する方法を開発した.その結果,データベースの規模を削減するとともに,処理時間を大幅に短縮できることを,計算機シミュレーションにより確かめた.当初本手法は,非線形プラント制御問題を適用対象としていたが,研究を進めていく中,画像,音声,通信の非線形信号処理にも有効であることが明らかになってきた.今後は,信号処理も含めたより広い応用分野を視野に入れながら,研究を遂行していく予定である.
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